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未来志向で、人やまちを元気にする、 「建築のその先案内人」を目指す

未来志向で、人やまちを元気にする、 「建築のその先案内人」を目指す

安井建築設計事務所 ビジネス領域

事業の新たな柱としてビジネス領域を推進

 安井建築設計事務所は、部署間の連携強化を図るため、2019年度に部門制から領域制へと移行。その一環として新設されたのがビジネス領域だ。

 現在、ビジネス領域は2つの部に分かれている。その一つ、マネジメントビジネス部は、建築プロジェクトの企画・事業計画・基本構想・基本計画を担い、設計者選定の支援や設計内容の適合性確認、竣工後のフォローも含めた〝CMr業務〞を主軸としている。

 他方の新ビジネス推進部では、将来的な新築プロジェクトの減少を見据え、BIMデータを活用した既存建物のファシリティマネジメントやプロパティマネジメントを推進。24年には宇宙ビジネス室を設立し、さらなる新領域の開拓を進めている。

「当社は設立以来、空港や鉄道などのインフラ施設に深くかかわってきました。宇宙ビジネスはまだ発展途上ですが、航空会社、空港運営会社との既存リレーションを生かし、将来を見据えた取り組みを進めています」と、ビジネス領域本部長の熊谷泰彦氏は語る。

 同事務所は、ビジネス領域を設計領域と並ぶ重要な柱と位置づけ、さらなる成長を目指す。デザインビルド方式の増加に加え、業界全体の人材不足もCMr需要を押し上げているという。「官公庁でも建築技術者の採用が減少し、官民問わず発注者側の知見不足が顕在化しています。私は本部長に就任してまだ1年足らずですが、CMrへの社会的要請の高まりを肌で感じてい
ます」と熊谷氏は述べる。

 現在、同領域には大阪・東京・名古屋に兼務者を含め49名が在籍。CMrやマネジメントには高度な専門知識が求められるため、経験豊富なベテランが揃う。設計領域出身者に、インフラ企業など発注者側の経験を有するキャリア人材も加わり、多様な視点も大きな強みに。また、設計領域との兼任も多く、領域の枠を超えて最適な人材を登用する柔軟な体制を整えている。
「必要に応じて社内の専門家が連携し、シームレスなサポートを提供することで、迅速な対応を実現しています」

昨年度は年間約60件のプロジェクトを受注。CMrとして中立性を重視しているため、設計業務とは切り離した案件が大半を占めている

公平性を確保しながらマネジメントを実施

 ビジネス領域では、「建築のその先案内人」というコンセプトを掲げ、竣工後のフェーズまでを含めたトータルマネジメントの重要性を訴求している。

「事業構想から施工を経て建物の運営へと移行しますが、その最も長い期間の運営にも関与し、リレーションを深めることが次の仕事につながると考えています。また、よい建築ができても維持管理が不十分では資産価値を下げかねません。維持管理の合理化は重要なテーマであり、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります」

 同事務所がCMrとして参画した「Panasonic Stadium SUITA」では、設計から竣工までのコスト・品質・スケジュールを管理。募金による資金調達という特殊な要件のもと、透明性・公平性を確保しながら業務を推進した。複雑な要求に対して発注者の意向を押し通すだけではなく、プロジェクト全体の円滑な進行を見据えた設計者との調整が不可欠であり、建築設計を熟知
した同社の手腕が生きた案件であった。

 今後の採用においては、設計・施工スキルだけでなく、広い視野を持ち、発注者側の立場を理解しながらプロジェクトを推進できる人材を求めている。さらに、「人を大切にするマネジメントとコミュニケーション」という理念を体現できることも重要な要素だ。

PROFILE

熊谷泰彦

熊谷泰彦
Yasuhiko Kumagai

執行役員 ビジネス領域本部長

くまがい・やすひこ/1995年、早稲田大学大学院理工学研究科
修了後、株式会社安井建築設計事務所入社。東京事務所設
計部配属。2019年、執行役員、東京事務所副所長、設計部長
に就任。24年より現職。執行役員、ビジネス領域本部長兼 東京
事務所マネジメントビジネス部長。丸の内トラストシティ/シャン
グリ・ラ 東京、東京ワールドゲート神谷町トラストタワー/東京エデ
ィション虎ノ門、東京国際クルーズターミナルなどの設計を担当。
一級建築士。

株式会社安井建築設計事務所

所在地/東京都千代田区神田美土代町1
https://www.yasui-archi.co.jp/
大阪ガスビルディングなどを設計した建築家・安井武雄
が創業。2024年に創業100年を迎えた。都市・地域の
開発計画から建物の企画・調査・設計・維持管理まで、
幅広いソリューションを提供している。

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