国内最大級のデザインファームとして、 今後も国内外の多様なプロジェクトに挑戦。次代に向けた変革を一丸となって推進する
日建スペースデザイン
1994年に産声を上げた、日建スペースデザイン(NSD)。その源流は、日建設計の家具部にある。その後、家具部はインテリア部と名称を変更し、オフィスのPM・FM業務の走りとしてつくられたオフィスデザインセンター(ODC)と合流し、NSDとして独立分社化を果たした。
「独立前、インハウスデザイナーとしての限界を感じていました。建築設計ともたれ合う体質から脱却し、独自提供できるサービスとデザインを高めることを目的に分社化しました」とNSD代表取締役の大久保豊氏。
現在、東京・大阪・名古屋・上海にオフィスを構え、120名のメンバーが在籍。ホテル中心のホスピタリティデザイン部門と、オフィス中心のイノベーションデザイン部門の2本柱とする組織構成だ。日建設計本体からの受託は現在では30%程度までに減少し、直接契約のクライアントとの仕事が70%を占めている。
これまで受託したホテルの総件数は500件以上。コンラッド大阪をはじめ、芦屋ベイコートクラブ、三井ガーデンホテル神宮外苑の社プレミア、ハレクラニ沖縄など、新築・改修を合わせて年間50件ほどの案件を動かしている。競合するインテリア系事務所が多い中、これだけの実績を誇る強みはどこにあるのか。
「どんなターゲットやコンセプトにも対応できる柔軟さと、高いレベルでのクオリティを保ち、結果を出し続けている点が、お客さまの安心感と満足度につながっていると思います。また、NSDは建築設計から独立しているのはもちろん、施工部門も持ちません。デザインのみを追求している姿勢こそが我々の強みです」
海外では建築設計とインテリアデザインを完全に切り離して受注するため、独立したインテリアデザインファームのチャンスは大きい。そこでNSDは、社内にグローバルPMチームを設立し、外国語が堪能な人材やPM経験者を配置。同チームを介すことで、幅広い海外案件を受けることが可能となった。ホスピタリティ部門のチーフデザイナー・九十九優子氏は言う。
「日本国内には5つ星級のホテルが不足しているため、今後もホテルの建設は続くでしょう。さらに、現在は15〜20%の海外案件の受託があり、こちらも増加を見込んでいます」
80名以上在籍するデザイナーの厚みが多数の案件をこなせる底力となり、様々な要望を持つクライアントとのベストなマッチングを可能としている。
「デザインとは人が中心になるもの。個々の裁量に任せているので、若い人もやりたいことを実現できる機会が多い。トップダウンよりボトムアップを重視しています」(大久保氏)
主にオフィスを手がけるイノベーション部門では、住友商事、三井住友銀行など従来から付き合いのある大手企業のほか、IBMやmixiといったコンペなどで得た新たなクライアントも増えている。「ここ数年でオフィス設計は根底から変わってきています。大小問わずどの企業にも働き方改革を含め、変えたい、変わりたい、といった意識はありますが、リクエストが潜在的なために、こちらが掘り出して提案しなければいけません。働く場所のデザインは経営にかかわる要素のひとつでもあり、面白さと同時に難しさも感じています」とイノベーション部門のチーフディレクター・西田徹太郎氏は語る。
未来のさらなる躍進に向けたビジョンを大久保氏に聞いた。「2016年からの5年間を改革の年と捉え、会社のコアを鍛える組織改革を行ってきました。ある程度の基盤が確保できた今、デザイナー個々のアイデンティティを引き上げることが、NSD全体のブランド力を高めることにつながると考えています。今後、優先すべき目標は、グローバルの土俵で多くのクライアントから選ばれる力を、さらに強化することです」
- 株式会社日建スペースデザイン代表取締役 大久保 豊
おおくぼ・ゆたか 1981年、京都工芸繊維大学住環境学科卒業後、
株式会社日建設計インテリア部に入社。
96年、株式会社日建スペースデザインに移籍する。
2001年、同社取締役チーフデザイナー。
14年、同社代表取締役に就任。
一級建築士。
- 株式会社日建スペースデザイン
1994年、日建設計のインテリア部・オフィスデザインセンターが分社独立。
施工・物販部門を持たないデザインファームとして国内最大の規模を誇る。
ホテル・オフィスを中心に国内外の様々なプロジェクトに携わっている。所在地/東京都文京区後楽1-4-27
TEL/03-5689-3264
http://nspacedesign.co.jp/