設計し、つくってからが始まりの精神で、 利用者に愛され、永く使われ続ける建築を
NTTファシリティーズ 都市・建築設計部
20年先の技術を見据え街づくりの課題に対応
NTTファシリティーズは、NTTグループにおける電力・建築分野の専門技術集団として1992年に発足。通信施設をはじめとする建築設計や、電力設備などの設計・保守管理を行う。首都圏事業本部は、街づくり事業とデータセンターという2つの事業を軸に設計・監理を行い、全国の大規模プロジェクトをブロック支店協力のもと都市・建築設計部が一手に担っている。
「街づくり事業は、クライアントが保有しているアセットの開発を課題解決型で提案し、地域貢献も実現するという位置づけです。ルーツである逓信省以来100年以上積み重ねてきた通信のノウハウを生かしたデータセンターの設計も得意としています」
と同部建築設計部門長の北口英紀氏は話す。
同部が扱うプロジェクトでは関係者も多く、複雑なニーズが絡み合うことから、設計の技術力だけでなく、それらを采配するマネジメントスキルが要求される。さらに、同社に設計を依頼するに当たって当然期待されるのは、NTTグループならではのICTへの取り組みだ。近年は、「withNTT」をキーワードに掲げ、積極的にグループのICT、AI、DXソリューションも提案している。
「大規模再開発では、今の最先端を取り入れても竣工時には陳腐化する恐れがあり、10年から20年先の街づくりを見据えた設計を考える必要がある。グループ内外の取り組みや時代の流れを注視し、設計でどこまで対応するかを各部門で絶えず議論しています」
このように様々なナレッジを共有するため、街づくりやBIMなどの各テーマを設定し、Webチャットなどによる情報交換や議論を頻繁に行っている。また、引き渡し前の建物内覧会もリモート化し、担当部門が撮影した動画を社内で公開。リモート勤務環境下において、どのように知の継承を行い、スキルアップを図るかも大きな課題だ。
「動画で何を記録するかを考えさせることも人材育成の一環です。内覧会をリモート化したことで、これまで足を運べなかった全国の社員が参加でき、その後の営業ツールにも使用できるという思わぬメリットもありました」
街づくりから内装設計まで大小の規模を合わせるとプロジェクトは年間300件にもおよぶ。常に求められるのは同社としての品質の安定感だ。そのため、週1回開催するデザインレビューにより、全プロジェクトの基本計画から実施設計までをすべてチェックする。各フェーズでレビューを受けなければ、外部リリースできない仕組みだ。
「意匠、構造、設備、監理の各部門長が、あらゆる角度から設計を審査します。見えないリスクの排除と先を見据えた品質管理など、常にお客さま目線の配慮を忘れないことがとても重要だと考えています」
と北口氏は話す。
品質の安定感をすべての建物に担保
近年、同部が設計に携わったプロジェクトには、昭和元年に建設された京都中央電話局を、ホテルや商業施設などの複合施設としてコンバージョンした「新風館」(2020年竣工)などがある。ちなみに、NTTグループが保有する電話局などの施設は全国におよそ7000棟以上。デジタル化による設備の再編に伴う再開発は、今後も続くことが予想される。
遡れば明治時代に逓信省が発足して以来、日本の通信インフラを支える建築は、NTTグループが揺らぐことのない品質を担保しながら丁寧に保守・維持管理され続けてきた。そのDNAは同社にも脈々と受け継がれている。
「竣工時に感謝されればモチベーションが上がるのは当然ですが、本当に大切なのはその後10年、20年と建物が使われていくなかで、トラブルなく快適に使い続けられることではないでしょうか。より多くの方々から、NTTファシリティーズに頼んでよかったという言葉が聞けるような仕事を目指していきたいと思っています」
- 都市・建築設計部 建築設計部門長北口英紀
Hidenori Kitaguchi きたぐち・ひでのり/
1996年、武蔵工業大学(現東京都市大学)大学院工学研究科建築学専攻修了後、
株式会社NTTファシリティーズ入社。
関西事業本部、首都圏事業本部、中国支店での建築設計部門勤務を経て、
2015年からの3年間は総務人事部で全国の建築系人材の採用や人材育成を担当。
18年7月より現職。一級建築士。PMP。
- 株式会社NTTファシリティーズ
東京都港区芝浦3-4-1 グランパークタワー
https://www.ntt-f.co.jp/NTTグループをはじめとする建築物・電力施設の企画・設計・施工から、保守・運用・維持管理までを担う。
建築×エネルギー×ICTの融合技術を駆使し、社会が抱える様々な課題の解決を目指している。