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建築とデザインの力で、世界中の人たちが幸せになる“遊び・学び・育ち”の場を創造し続けていきたい

建築とデザインの力で、世界中の人たちが幸せになる“遊び・学び・育ち”の場を創造し続けていきたい

マザー・アーキテクチュア

つくるのは〝建物〞ではなく、子どもや大人の創造性を伸ばし育む〝場〞であり、〝子宮〞――。独自の技で建築業界をリードする組織を紹介する本企画に今回ご登場願うのは、一般社団法人マザー・アーキテクチュア。代表理事であり建築家の遠藤幹子氏と、彼女を支える相澤久美氏、宮原契子氏の両理事が同法人を設立したのは2013年5月のことだ。建築事務所から始まった遠藤氏のキャリアだが、活動領域は建築の枠をとうに超えたところにある。論より証拠、象徴的なプロジェクトを早速紹介していくことにしよう。

志を共有した異分野のプロが結集。設計以外の案件も

一般社団法人マザー・アーキテクチュアの設立日は、13年5月12日、母の日である。ミッションは「世界中のすべての人たちが、生まれ持った想像力を花開かせる『遊び・学び・育ち』の場を創造すること」。忙しさは個人事務所時代から変わりないというが、遠藤氏は「改めて公益性の高いプロジェクトを担うプロであることを表明したかった」と強調する。「現在は、子ども、母、地域といったキーワードで、新しいことをやりたい人から声をかけていただいています」。

脇を固める二人の理事は、昔からの〝ママ友〞であり、なおかつ頼もしいプロフェッショナルだ。相澤氏は、設計事務所出身、現在は複数のビジネスを主宰し、特に社会的事業の運営に精通している。宮原氏は、広告代理店を経て国際協力NGOに転職。MBAホルダーでもあり、経営戦略や企画の立案、PRなどで協力する。遠藤氏が設計するだけでは広がらない領域に、異なる分野のプロフェッショナルである二人の力を借りて、業務を拡張していく目論見だ。

団体が発足して2年。現在10件を超えるプロジェクトが同時進行中だというが、設計段階にあるものが多く、遠藤氏と2人とのコラボがお目見えするのはもう少し先。ただし、3人は毎日、〝ものすごく頻繁〞にSNSやメールでアイデアのブレストを行っている。遠藤氏が「依存し合わない、完ぺきな共謀関係」というのも納得だ。理事の二人にも、団体における自身の立ち位置を語ってもらった。
「もともと私は広告屋ですから、遠藤が輝くようにサポートできたらと思っています。新しいアイデアを遠藤にインプットするのもそうですが、例えばこれまでとは違う領域と遠藤の才能をつなげていけたらと。歳をとらないうちに、違うタイプの仕事をいくつか経験しておくと、発想の幅がまた広がるものですから」(宮原氏)

「私は遠藤の力を信じているので、彼女がやりたいようにすればいいと思っています(笑)。いくつか自分の法人を持っていますから、べったり一緒に動くことはないでしょう。でも、彼女が社会に還元できることに価値を感じていますし、これからもその後方支援を続けていくかたちです。私の仕事にとっても彼女の存在はとても大きい。東北の被災地支援にかかわっていますが、現地の子どもが置かれている環境をもっと改善していきたい。そこで遠藤の力を借りられることが、本当に心強い」(相澤氏)

当の遠藤氏に、自身の未来像を聞くと、「アフリカに住んでみたい」という予想外の回答が。
「いつも新しいことに挑戦していたいんです。仕事がルーティン化するとパフォーマンスが落ちる。それはお客さまに対しても失礼ですし、そういう人間が同じポジションに居座ると、若手の成長を阻んでしまいます。何より、マタニティハウスの仕事で行き来するうち、アフリカが面白くなってきました。しばらく向こうに住み、国際的にも自分の仕事を認知してもらいたい」

イコール、日本の仕事を捨てるということではない。「日本でもやりたいことがすごくある。その二面性をどう両立させるかが課題」だと話す。
「アフリカに行くと日本で仕事ができなくなる、というのは貧困な発想だと思います。かつて建築と育児の両立にもがいたことがあります。建築家としてものをつくること、娘におっぱいをあげること、二つは全然違いますから(笑)。でも今、こうして自由に大好きな仕事ができている。日本の仕事とアフリカの仕事も、きっと両方できる!そうやって自分自身をマインドコントロールしている最中です」

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PROFILE

遠藤 幹子

遠藤 幹子

東京藝術大学大学院建築専攻修了。ベルラーヘ・インスティテュート(オランダ)修了。

留学中の出産子育てを経て、2003年にofficemikiko一級建築士事務所を開設。

JCDデザインアワード新人賞、こども環境学会デザイン奨励賞ほか受賞多数。桑沢デザイン研究所講師。

一級建築士。

相澤 久美

1997年より、設計事務所を共同主宰。

現在は、一般社団法人サイレントヴォイスを活動母体とし、映像製作・配給、各種企画制作を行う。

一般社団法人震災リゲイン代表理事。

震災専門メディア『震災リゲインプレス』発行人。

各地でアートプロジェクトのプロデュースも手がける。

宮原 契子

東京大学卒業後、日本および外資系広告会社で、

主に子どもや女性を対象としたマーケティング、ブランド開発などを担当。

東日本大震災をきっかけにNGOに転職し、東北の女性支援とリーダーシップ育成を行っている。

BA(教養学士)、MBA(経営管理学修士)、MPA(行政学修士)。

一般社団法人マザー・アーキテクチュア

設立/2013年5月(母の日)
代表理事/遠藤幹子
所在地/東京都渋谷区千駄ヶ谷5-3-6

http://mother-architecture.org/

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