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Architect's magazine

人と組織が抱えるBIMのニーズを全方位型サービスで解決していく

人と組織が抱えるBIMのニーズを全方位型サービスで解決していく

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による業務フローの変革が、
世界の建設業界に浸透しつつある。
この新たな3次元モデルを駆使すれば、設計と施工、ファシリティマネジメントの
情報交換が今以上にスムーズに行え、工期の大幅な短縮も可能となる。
ただし、我が国の現状は まだ〝過渡期〞といわざるを得ない。
クリーク・アンド・リバー社(C&R社)建築事業部が展開するBIM事業は、
業界のインフラ発展にどう寄与していくのか。
その〝解〞を、組織設計事務所と建設会社で活躍するBIMの先駆者とともに探った。

〝設計BIM〞と〝施工BIM〞を融合

島谷 では、前田建設工業ではいかがだったのでしょうか?

綱川 00年に当社のトップが、「すでに製造業が3Dでものづくりをしているのに、建設業がいまだに2次元CADに留まっているのはおかしい。3次元の設計にチャレンジせよ」という方針を示したんですよ。最初は私を含めた4人のワーキング活動としてスタートしました。

当時としては高価なハードやソフトを様々試すことができた。日本でBIMという言葉が使われ始めたのは05年頃と記憶していますが、その時にはすでに「自分たちはBIMのようなものをやってきた」と実感できるレベルになっていたと思います。意匠も構造も設備も一部屋に集まり、3次元設計に取り組んでいましたが、その後、構造と設備はそれぞれの部門に戻りました。私が在籍しているBIMマネージメントセンターは意匠が主業務です。

鈴木 BIM以前に、BIMのような概念を実行されていたと。トップの先見の明にも感謝ですね。

綱川 理想を先にブチ上げることが大切だと思います。ビジョンがないとみんなついてきませんよ。

鈴木 ゼネコン業界全体として、今、BIMはどういった状況になっているのでしょうか?

綱川 どのゼネコンも「BIMはやっている」と答えます。ただ、本来の理想的なBIMのかたちとは異なります。日本では設計事務所の〝設計BIM〞とゼネコンの〝施工BIM〞に分かれていて、2次元CADの時と同じで分断してしまったようです。その点、川上の意匠設計から3次元で最後までやる当社は、理想的なかたちに近いと自負しています。一方、BIMはファシリティデータを集めるツールとしての可能性もある。そのように、BIMと一言でいっても認識がいろいろ異なっているのです。見方によっては、裾野は広がっているといえますが。それだけに、安井さんがおっしゃる定義づけが大事だと思います。

鈴木 やはり職能の不明確な点がハードルの一つということですね。

綱川 そうですね。それと、BIMのニーズが増えてはいますが、人材が追いついていないことも大きな問題です。先ほど、BIMオペレーターは建築技能のバックボーンが必要という話がありましたが、私自身は、逆にツールから入る人がいても、それはそれでありだと思うのです。

島谷 なるほど、面白いですね。

綱川 我々が大学で教わった設計製図の知識、技術の多くが、現在の仕事の現場で通用しなくなっています。BIMの普及は、凝り固まってしまっている教育体制に風穴を開ける可能性があるのではないでしょうか。

【次のページ】
建築業界全体で、普及の道を探るべき

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PROFILE

安井謙介(左)

安井謙介(左)

株式会社日建設計
設計部門 3Dセンター室長代理
BIMマネージャー

 

2002年、東京大学大学院新領域創成科学研究科修了後、

オランダのデルフト工科大学へ留学。

03年、erick vanegeraat (オランダ)勤務。

04年の帰国後、株式会社松田平田設計入社。

総合設計室副主任を務める。

14年、株式会社日建設計入社。

一級建築士。

綱川隆司(右)

前田建設工業株式会社
建築事業本部 ソリューション推進設計部
BIMマネージメントセンター長

 

1993年、早稲田大学理工学部建築学科卒業後、

前田建設工業株式会社に入社。

2001年より、3次元CADによる建築設計に従事。

BIMを活用した仮想コンペ「Build Live(IAI日本主催)」に
チーム「SKUNK WORKS」として毎年参加し、

14年は最優秀賞・BuildingSmart大賞を受賞。

15年、社長賞受賞。
一級建築士。

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