自分たちの生きる場を自分たちでつくる。
変革を楽しむ、事実追求集団が、
建築設計の枠を超えて創造的改革へ挑戦
類設計室
類設計室は、小・中・高生を対象に、追求力と活力の再生に取り組む類塾、有機野菜の栽培や直売所を運営する類農園など、幅広い事業を展開する類グループの中核である。グループが様々な業態に進出してきたのは「自分たちの生きる場を自分たちの手でつくる」という志に基づくものだ。
設立から45年を迎えたが、東京設計室長の岩井裕介氏は、現在を「変革期」と定義。建築設計事務所の枠を超える集団を目指し、多方面でイノベーティブなプロジェクトを果敢に提案し続けている。
「学び・企業・地域自治の3つの分野で変革を追求しているのが強みです。〝革命的〞なプロジェクトに積極的に取り組むことで、活力のある社会、未来を求め続けてきました」
3つの変革を追い、楽しむ類設計室にフォーカスしてみよう。まずは学びだ。類塾の経営実績をバックボーンに、小学校から大学まで400件以上の実績を誇る。近年はアクティブラーニングの実践的スペースとして日本初という「東京大学21KOMCEE」を手がけた。追手門学院中学校・高等学校のプロジェクトでは脱・教室という構想を模索。学校の経営・教学(学習内容)、そして学びの場のハードを三位一体でコンサルティングできる設計事務所は他に類を見ない。企業革命に目を向けると、オープンイノベーションに特化した「味の素クライアント・イノベーション・センター」を設計。地域自治革命では、自治体と組んだワークショップ「共創スタジオ」を展開。政策研究、コンサルティングまでカバーしてきた。
類は変革の友を呼ぶ。教育機関・企業・自治体が変革を希求し、従来の枠を超えた場を求める際のパートナーとして選択されるケースが目白押しだ。
「今までにない新しい空間をつくる――それだけではなく、もっとチャレンジし、クライアントと共にハード、仕組み、環境を一緒にデザインしていきたいと考えています。
『とことん一緒につくっていけるんですね!』
『類設計室と未来を語り合ったら、何かが見えそうな期待がある』。
そのような言葉をお客さまにいただく時が、私たちにとって最も嬉しい瞬間です。クライアントの潜在的な期待を見いだし、変革につなげていく。そのプロセスが面白く、楽しいのです」
これまでの常識が通用しない時代に新たな価値をつくりだす。「変革を楽しむ」集団としての歴史は、自らの組織・業態を変革し続けてきた軌跡でもある。類設計室は、全社を一つの共同体として捉える。創設以来、誰もが認めることのできる「事実の追求」を統合軸に、全員参加経営を貫いてきた。
大阪、東京など拠点の社員をテレビ会議でつなぎ、経営状況や経営方針、プロジェクトの状況を全員で共有する「劇場会議」。さらに、活動状況や成功事例、アイデア募集などが活発にアップされる「社内ネット」。全社員がオール・類設計室として参加する仕組みにより、変革を楽しみながら実現していく企業風土が醸成されているのだ。
「イノベーションに取り組むためには、組織づくりでも、人材育成でも、私たち自身が常に変革を求めていかなければ。あらゆる分野でパラダイム変換が起きている大転換の時代です。新しい価値をつくるためには、これまでの成功体験にとらわれてはいけません」
設計の枠を超えて新たなコンセプトを創造する企画室、建物のライフサイクルを見据えてコンサルティングしていく営繕室など、建築と生涯にわたって寄り添っていく体制も整えている。日本社会の大転換期に際し、社内体制も柔軟に変革していく構えだ。
「社会の期待に応えるためには、時代の変化をキャッチし、言葉にならないクライアントの期待を捉える力が必須です。ただ、それは書籍にもネットにもありません。徹底した事実の追求だけが未来の可能性を切り拓くことができるはずです。成功体験や失敗も含め、私たち自身が身をもって取り組み、ぶつかっていくこと。その積み重ねが変革につながるのです」
- 株式会社類設計室取締役東京設計室長
岩井裕介(いわい・ゆうすけ) 1996年、東京大学大学院工学系研究科修了後、
株式会社類設計室入社。
意匠設計、企画担当を歴任し、現在は東京設計室長として、
プロポーザル勝率日本一の類設計室を牽引している。
- 株式会社類設計室 東京事務所
所在地/東京都大田区蒲田5-38-3 蒲田朝日ビル
TEL/03-5713-10101972年創設。類塾、類地所、類農園などを包括する類グループの中枢として東京・大阪で建築設計業務を展
開。長野オリンピックスタジアムなどの実績に加えて教育イノベーション、自治体の政策提案、企業の働き方改
革提言など、設計の枠を超える事業展開も活発。