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植物を育てるように都市を育てたい。</br>アルゴリズミックデザインの思想を軸に、新たな建築手法・概念の創出を目指す

植物を育てるように都市を育てたい。
アルゴリズミックデザインの思想を軸に、新たな建築手法・概念の創出を目指す

慶應義塾大学環境情報学部 松川研究室

生成システムにより風土に合った都市を

松川准教授は、建築家か教員、理論物理学者になるかを迷いながら、建築の道を選択した人物。結果、現在は大学教員となり、物理数学的手法を用いて建築の研究を進めている。

「その時その時に興味があることに没頭し続けていたら、やりたかったことがすべて結実したという感じでしょうか」

研究だけでは社会から乖離し、実践だけでは経済原理にのみ込まれて基礎研究がおろそかになる。教員をやると決めた時は、研究と実践の両輪を常に回し続けたいと決めていた。

しかし大学教員の仕事は想像以上に忙しく、両立は難しかったが、志を同じくする卒業生が育ったことで、起業した彼らを後押ししながら研究を進化させている。現在、卒業生4人と住宅メーカーとの共同で「アルキテクトーム」を応用したシステムの開発をスタート。まだ準備段階だというが、ここ数年中には社会実装の第1号が生まれる予定だ。

バーナード・ルドフスキーが「建築家なしの建築」で示したように、百年前には世界の地域ごとに自然発生的な特徴のある建築群が存在していた。しかし今の日本を見ると、どのエリアでも同じような建築が並ぶ均一的な風景しか見られない。

「このシステムで、地域ごとの微地形・微気候や社会環境などの評価を重くすれば、地域に適応した建築を生み出すことができるのではないかと。都市や地域に適応した建築群を、植物を育てるように、百年かけてもう一度再現してみたいですね」

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PROFILE

松川昌平

松川昌平

まつかわ・しょうへい
1998年、東京理科大学工学部建築学科卒業。
99年、000studio(ゼロスタジオ)設立。
2009年、文化庁派遣芸術家在外研修員および客員研究員として
ハーバード大学GSD在籍(~11年)。
12年、慶應義塾大学環境情報学部専任講師。14年より現職。
共著に『設計の設計』(INAX出版)、
訳書に『アルゴリズミック・アーキテクチュア』(彰国社)など。

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