近代建築を超越した設計とデザインで、未来の事例をつくる
中川エリカ
具体的な体感を、建築へと抽象化する
その後、Y‐GSA(横浜国立大学大学院建築都市スクール)の助手に応募し、同時に独立。独立後初のプロジェクトは、2拠点住宅として依頼された「桃山ハウス」だ。静岡県にある敷地は斜面のヘアピンカーブの内側に面し、既存の塀がぐるりと取り囲む。
「図面を二次元的に捉えるのではなく、敷地の持つ体感的な要素から設計を導きました。学生時代に学んだことと、オンデザインでの経験が積み重なって考え出された設計です」
その後、「新宿パークタワーラウンジ」では、竣工後25年を経たパークタワーにオフィスビルの新たな価値を付与するための内勤者専用ラウンジの改修設計を担当。想定される使用法や人数、滞在時間は不確定という条件に対し、水平のパーティションに見立てた様々なサイズや高さのテーブルを島のように配置した。
「均一でないレイヤーを重ねるイメージです。明るさや、テーブルの高さに自由な〝ムラ〞をつけることで、使う人自身が〝居場所〞をフレキシブルに選べる状況にしたかった」
今後は公共施設など、幅広いジャンルに取り組みたいと意欲を見せる。
「未来を予言する事例となるような、近代建築を超えた作品をつくりたい。頭だけでなく身体的にどう感じるかを具体的に捉え、建築へと抽象化する――この思考と手法をさらに進化させたいと思っています」
- 中川エリカ
なかがわ・えりか 1983年、東京都生まれ。2005年、横浜国立大学工学部建築学科卒業。
07年、東京藝術大学大学院美術研究科修了後、オンデザインに入社。
14年、中川エリカ建築設計事務所設立。
14~16年、横浜国立大学大学院Y-GSA設計助手。
現在、東京藝術大学、法政大学、芝浦工業大学、日本大学、横浜国立大学非常勤講師。
- 中川エリカ建築設計事務所
所在地/東京都世田谷区上用賀4-34-1-308
TEL/03-6413-8105
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