乃村の総合力を生かし、 斬新な保育施設を提案。 日本の未来を担う 子供たちの育成に貢献技
乃村工藝社 NOMURA Co., Ltd
創業127年。四国・高松の芝居小屋での大道具制作から始まった乃村工藝社は、以来、仕事の範囲を着実に広げ、百貨店やショールーム、博物館、科学館など、各種施設における内装・展示の企画、デザイン・設計、制作・施工、運営管理など、時代に求められる〝空間づくり〞のノウハウを蓄積させてきた。そんな同社が保育施設を扱う専門チームを結成したのは2014年のこと。その名称は「全国こども施設開設支援プロジェクト」。同プロジェクト誕生の経緯、狙いを聞いた。
保育所にとどまらず子供のための施設にノウハウを生かす
札幌でのチーム発足から5年、認可保育所と企業主導型保育所を合わせて約60施設を手がけてきた。それは、運営事業者ごとに異なる要望を見事に満たしてきた証しでもある。ではメンバー個人は、保育所づくりにどんな思いで向き合っているのか。
1階は遊具などが設けられた遊戯スペース、2階は保護者のための子育てサロンとなっている。建築・内装設計を時設計、建築工事を山田工務所、乃村工藝社が意匠デザイン・内装工事を担当
「保育所は、完成から数十年、使い続けられる施設です。個性的なデザインはやがてズレていく。どんな時代にも評価される普遍的なデザインは必要だと思います。また何より、子供の命を預かる場所としての安心と安全がなくてはいけない。ビス1本外れるだけで子供にとって大きな危険が生まれるわけですから」(松田氏)
「松田の話とは矛盾するかもしれませんが(笑)、普遍的なデザインが大切である一方で、保育所が増えてくると、今度は〝選んでもらえる〞保育所にしないといけないと考えています。例えば、保育所という空間は子供が経験する初めての〝社会〞と考えることもできる。何か〝人のつながり〞を強く感じられる空間を仕かけられないかと、構想を練っているところです」(杉本氏)
「例えば『図書館の中に託児所をつくりたい』という相談をいただいた場合に、当社であれば図書館ごとお任せいただける。そんな時は、どんなオーダーにも〝乃村一社〞で完結できる強みがあります」(高田氏)
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一方、大橋氏は保育園が子供の成長にもたらす影響力に関心を抱いている。どんな保育所が子供をどのように育むのか、まだ定量的なデータが存在しない分野だが、それでも知見は蓄積されつつある。
「例えば、朝は白い色の光、夕方はオレンジ色の光と、太陽の動きに合わせて色を変える照明があります。これは、なかなか窓がとれない都市部の保育所でも体内リズムを学べるように、という仕かけ。これまで保育所以外の施設では〝見せる〞ための空間に携わることが多かったので、子供に与える影響を考えながら進めていく空間づくりは新鮮です」(大橋氏)
「これからは、より幅広く〝子供領域〞に展開していきたいと考えています。例えば〝子供向けの歯科医院〞。根本は変わりません。私たちが望むのは、常に真摯なものづくりをすること。乃村工藝社のものづくりのノウハウを、様々な子供関連施設に生かしていきたいですね」(松田氏)
- 株式会社乃村工藝社
NOMURA Co., Ltd 創業/1892年3月15日
代表者/代表取締役会長 渡辺 勝
代表取締役社長 榎本修次
所在地/東京都港区台場2-3-4
https://www.nomurakougei.co.jp/
- 松田 裕介/Yusuke Matsuda
2007年、立教大学法学部卒業後、乃村工藝社に入社。
本社勤務後、5年間の北海道支店を経て、
全国こども施設開設支援プロジェクトを立ち上げる。
プロジェクトリーダー。
- 杉本 渉/Wataru Sugimoto
2014年、東京都市大学大学院建築学専攻修了後、
三上建築事務所意匠設計担当を経て、乃村工藝社に入社。
クリエィティブ本部デザイナー。
- 高田 和哉/Kazuya Takata
2018年、香川大学経済学部経済学科卒業後、乃村工藝社に入社。
第三事業本部営業1部1課プロジェクトマネジメント担当。
- 大橋 史歩/Shiho Ohashi
2012年、東京国際大学国際関係学部卒業後、
オフィスの設計会社など勤務を経て、乃村工藝社に入社。
第三事業本部営業1部1課開発営業担当。