設立55年、積み重ねた実績と経験が強み。 省エネ環境・施設空間を熟知したプロが、 顧客目線で設備設計の“最適解”を提案
蒼 設備設計
大手設備専業設計事務所として、幅広い実績を積み重ねてきた、蒼 設備設計の設立は1965年。以来、一貫して設備の企画構想から基本設計、実施設計、運用コンサルティングまでを手がけながら、学会賞などを受賞する数々の作品を生み出している。
「設立当初から、大手電力会社が施主となる施設の設備設計案件を数多くお手伝いしてきました。エネルギーを扱う企業の建物ゆえ、常に合理的な省エネシステムの導入が要求されます。厳しい条件のなかで、設備設計の多様な〝最先端〞を学ぶことができました」と取締役設計部長の合田和泰氏は言う。
同社は、環境への意識が乏しかった80年代から、環境や管理コストに配慮した設備設計に取り組んできた。例えば空調設備の場合、効きの悪さを懸念して過大な機器を選びがちだが、実際の負荷との差が大きいほどエネルギー効率は悪くなる。ポルシェで畦道を低速走行するようなものだ。機器ごとの性能を使用実態に合わせて正確に把握し、建物に対して無駄なく組み合わせることが空調設備設計の要となるわけだが、環境問題に配慮した設備設計の提案に対し、コスト面で躊躇する施主は多い。その点、主たる顧客の多くが常に同社が提案する最先端ソリューションへ挑ませてくれたのだという。
そして、ストック時代を迎えた近年、設備改修の物件が圧倒的に増えている。建物内の業務を継続しながら行う改修工事は、新築とは違った難しさがある。改修では更新周期による機能の維持だけでなく、時代の変化に対応した設備レベルの向上も求められるからだ。
「エネルギーの価値観自体も時代により大きく変わっています。以前は電力といえば平準化が基本でしたが、昨今は太陽光発電などで得られた再生可能エネルギーを使い切るアイデアも求められます。時代の価値観と建物使用実態の変化に合わせた省エネを実現させることも現在の大きな課題です」
同社の省エネ建物の代表作の一つが、90年代に設備設計を手がけた東京電力技術開発センターだ。
「同建物に最適な最先端技術をできる限り導入することを目指したため、設計時点では研究半ばで、導入実績もなく、設計法も確立していなかった設備システムも相当数導入していました。ある意味大きな賭けでもありましたが、その狙いは外れませんでした」
さらに同センターでは、最新の省エネ技術の設計・施工のみでなく、ライフサイクルの観点から、早くに建築設備と建物の運用管理の重要性に注目し、BEMS(Building Energy Management System)の開発やMITからのCAFM(Computer Aided acilitiesManagement)の導入も行った。そして現在も、2週間に1回のペースで同センターの設備運用会議を続けており、同社の技術者の勉強の場にもなっているという。
現在約30名の社員のうち、機械設計の技術者が20名、電気設計の技術者は4名が在籍し、ここ数年、新卒者の採用も継続して行っている。
「重要な決定にかかわる時にこそ、基礎的な知識が身に付いているかどうかで差が出ます。大学では実務的な勉強や先鋭的な研究はもちろんですが、熱の流れなど自然科学の仕組みをじっくりと学んでいただきたい」
「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」により、一定規模の建築物は一次エネルギー消費量の計算や今後は建築士による省エネ性能の説明も義務化されようとしている。持続的開発への対応が求められる今後、建物の省エネルギーを担う設備設計への期待はより一層大きくなるだろう。
「変容するエネルギー需要の価値観に対し、技術的な課題は非常に多く残されています。現代社会は立ち止まって研究をすることが難しい。しかし、新築・改修問わず、これまでと同様に実務として多くの設備設計をこなしながら模索するその先に、次世代の〝最適解〞が見つかると考えています」
- 株式会社 蒼 設備設計取締役 設計部長 合田和泰
ごうだ・かずやす 1975年、武蔵工業大学(現東京都市大学)機械工学科卒業後、蒼 設備設計に入社。
東海大学工学部建築学科非常勤講師(設備設計講座)。
SHASE 技術フェロー(空調設備計画・設計)。
技術士、エネルギー管理士、建築設備士、一級管工事施工管理技士ほか資格多数。
- 株式会社 蒼 設備設計
1965年、設立。培ってきた経験と知見を生かし、環境や建築への愛情をカタチにした設備設計およびコンサルティングを提案し続けている。取引先のシェアは、官公庁約50%、民間企業約50%。
所在地/東京都品川区西五反田7-21-1 第5TOCビル7階
TEL/03-6303-9271
https://www.sohmec.com/