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多様な職能が交じり合い新たなアイデアが生まれる。変貌する社会の未来を見据え、“人が集まる場所”をデザイン

多様な職能が交じり合い新たなアイデアが生まれる。変貌する社会の未来を見据え、“人が集まる場所”をデザイン

株式会社リライトデベロップメント

2014年月、JR中央線の高架下に新しい“公共圏”が誕生。リライトデベロップメントが設計を手がけた商業施設「コミュニティステーション東小金井(以下コミステ)」である。同社のビジョンはハード・ソフトの両面から新しい公共性を社会に示すこと。この実現のため同社代表・籾山真人氏は、異なる専門性を持ったメンバーとの協働という道を選択。13年にメジロスタジオがリライトデベロップメントに合流するなど、様々な組織改編を進めてきた。今回、話を聞いたのは籾山氏と、元メジロスタジオ代表、現リライトデベロップメント取締役の古澤大輔氏。まずは二人の邂逅までを辿ろう。

「非作家的な作家性」。この思想を武器に新たな公共圏をつくる

社会に“新たな公共の場”を提案するために集まった4人の狙いの正しさは、コミステの成功でひとまず証明されたようだ。かつて建築事務所の仕事は、個人宅から始まって、集合住宅、複合施設と進み、公共施設を担当するのがゴールとされた。「一緒になったメジロスタジオも、ある時までは、この“建築スゴロク”を順当に進んでいた」と籾山氏は言う。

「でも、僕らの世代はどこかで大きなジャンプアップがないと、公共施設にたどりつけない。また一方で、景気のいい時代にバンバン建てられたような公共施設をまだつくるのかという反省もある。今どんな公共施設が求められるのか自分たちで考え、生み出していく使命を込めて、『新しい公共性を示す』というビジョンを掲げています。これは個人事務所の延長では実現できません。特に、コミステのような規模のプロジェクトになると、合意形成のプロセスが複雑になり、求められる経済合理性もデザイン性も変わる。これからますます、僕たちが一つのグループに集結した意味が明確になっていくことを、楽しみにしているのです」古澤氏が後を続ける。

「公共建築の問題は、コンペやプロポーザルの前段階で『この敷地に、こんな機能をつくる』という条件がすでに設定されてしまっていること。その条件はなぜ必要か?という根源的な疑問の声が反映されづらい構図になっている。でも、リライトには企画段階から関与できる仕組みがあるし、コミステで実際にそれを実現したわけです。コミステは民間企業による商業施設ですが、企画から現場まで一貫して関与することで、周辺地域の方々に喜ばれる公共性を持った場づくりができることを実証したプロジェクトでした」「これからも公共性を帯びた場所づくりにかかわりたい」と籾山氏。3社それぞれの専門能力を伸ばしながら、さらに進化できる組織の在り方を模索していくという。異なる専門性の交わりからイノベーションが生まれることは多いが、「多様な専門家を同じ箱に入れさえすればイノベーションが起きるのか」という問いもついて回る。

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我々は「専門性ごとに別法人、独立採算」をその問いへの答えとした。

我々は「専門性ごとに別法人、独立採算」をその問いへの答えとした。「独立採算にしなければ自己批判回路が機能しない」と古澤氏。籾山氏も「なあなあの関係性を排除したかった」と明快だ。つまり3社を依存関係にしないための独立採算である。従って、お互い何かの業務を依頼する時は、必ず対価=金銭が発生する。

もう一つの答えは、ビジョン、ベクトルを合わせること。籾山氏は「我々4人は専門がバラバラだけど、大きな共通点がある」という。「もともと皆、いい意味で“こだわりがない”(笑)。一般的に、クリエイターは、作家性を持ちたがるけど、それがないのです。古澤は『非作家的な作家性がある。非作家的であることが実は作家的』と説明するのですが、僕たちの最大の強みは、きっとそこにある。それぞれの専門能力を研ぎ澄ませながらも、世の中のニーズに柔軟に対応していく。そうして自分たちの〝非作品的な作品〞づくりにこだわりつつ、クライアントとともに社会が求める、新しいかたちの公共の場を提案していく。それが僕らのチームが持つべき正しい“作家性”なのだと思っています」

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PROFILE

株式会社 リライトデベロップメント
設立 2008年8月(11年5月に改組)
 ※メジロスタジオ創業は2002年9月
代表者 籾山真人
所在地 東京都新宿区大京町29 作道ビル4階

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