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建築の新たなビジネスモデルを提唱する、 建築・コンサル・クリエイティブ力を 兼ね備えたプロフェッショナル集団

建築の新たなビジネスモデルを提唱する、 建築・コンサル・クリエイティブ力を 兼ね備えたプロフェッショナル集団

プランテック

建築意匠設計を中心に、コンサルティングやビジュアルソリューションにより注力して、今後も年間30名ほどの増員を目指す。
来年度の新卒入社は14名。定年制度がないため、技術を持った比較的年齢層の高い中途技術者も募集中

プランテックグループの創業者である大江匡氏が2020年に急逝し、氏から志のバトンを受け継いだ新社長・小山直行が組織再編を実施。21年から〝株式会社プランテック〞として再スタートを切った。小山氏は18年にプランテックコンサルティングの取締役に就任して以来、大江氏から経営に関する相談を受けていたという。

「大江は豊かな知見とアイデアを持って、いわば新たな建築事業を展開していましたが、当時の経営状況を鑑みて、グループの組織改革を模索・検討していたのです」

大江氏の思いを汲み、新組織は設計を中心とした事業に集約し、施工、ホテル事業などを大胆に整理。現在は、「建築設計」「コンサルティング」「クリエイティブ」の3つの事業分野に特化し、建築ビジネスの上流である企画・戦略立案から、設計、運用(クリエイティブ)までをワンストップで請け負っている。

「クライアント自体が把握し切れていない課題の解決そのものから戦略を立てていきます。将来的には、建物の要件が決まっているなら設計事務所、戦略から考えるならプランテックと言われるような存在を目指したいですね」

設計やコンサルティングを縦割りの部署で分けず、全社員が両方のスキルも兼ね備えて業務に当たることを目標としている。かつて大江氏は、「建築は〝作品〞ではなく、発注者と共同でつくる〝プロジェクト〞」と宣言した。まさにこれが新生プランテックの仕事で、今後社員一人ひとりが体現していく。

テレワークの推進や10時半~15時がコアタイムのフレックスタイム制を導入し、フレキシビリティの高い働き方を実現

「マネジャークラスの社員には、クライアントとの上流の打ち合わせから同席してもらうことで、営業やコンサルのスキル向上を図っています」

そのうえで各社員には、〝エキスパティーズ〞といえる専門的な技術を複数持っていてほしいと小山氏は話す。

「設計だけが得意では40万人いる建築士の一人に過ぎませんが、複数の得意を併せ持てばオンリーワンになり得ます。ドミノの牌に2つの異なる数字があることで果てしなくつながっていくように、2つ以上のエキスパティーズを持つ人材が集まることで、業務に大きな広がりが生まれるのです」

エキスパティーズを求めるのは社員にだけではない。社内で持ちえない部分に関しては外部と連携してチームを編成。アライアンスを含めた可能性を拡大していく方針だ。従来は大江氏の人脈からの中小オーナー企業クライアントが多かったが、近年は大手上場企業が急増。すべての企業に脱炭素経営への取り組み強化が求められる現在、建築を含めた総合的な検証と提案を行うコンサルティングの需要は高い。

「脱炭素につながる取り組みを300項目近く洗い出しており、費用対効果を考慮しつつ各企業に見合った案を提示できるモデルを構築しています。取り組み実施後の社会アピールに必要な映像コンテンツなどの制作まで一貫して受注できることも強みです」

新たな体制が整った今、より大きな挑戦を見据えている。膜、ファイバーなど新建材の採用、コンピュータによる3次元設計やシミュレーションなどによって、建築は大きな変化の時期に差しかかっていると小山氏は語る。

「ミースやコルビジェが新しい造形を世に示した時のように、新たな建築を希求する機運が高まっています。コンセプトを含め、建築の可能性を積極的に提示していきたいと考えています」

その範囲は〝リアル〞だけに留まらない。メタバースの活用が実現化した現在、バーチャル空間においても建築設計の力が求められている。さらに、その構想は宇宙空間にも広がっていく。

「米国で宇宙開発が民間に移行しているように、いずれ日本でも同様の動きが起こるでしょう。弊社に宇宙に関する専門技術はなくとも、イメージを具体的な形に落とし込む部分は建築設計の得意分野です。様々なエキスパティーズを組み合わせながら、設計事務所の枠を超えたビジネスモデルを構築、発信していきたいと思います」

PROFILE

株式会社プランテック
代表取締役/小山直行

こやま・なおゆき
1995年東京大学工学部建築学科卒業後、鹿島建設株式会社入社。
2006年株式会社ボストン・コンサルティング・グループ入社。
12年株式会社オートバックスセブンに入社し、取締役専務執行役員、
関連会社の代表取締役などを歴任。
18年株式会社プランテックコンサルティング取締役。
同年、一橋大学大学院経営管理研究科入学(20年修了)。
20年株式会社プランテックアソシエイツ代表取締役。
21年株式会社プランテック代表取締役。一級建築士。

 

株式会社プランテック

建築設計を主軸に、事業戦略や不動産アセット戦略の
立案からブランディング・運用までプロジェクト全体を支援。
東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、福岡、ホーチミン、ハノイ、バンコクに事業所を展開

所在地/東京都千代田区紀尾井町3-6 紀尾井町パークビル6階
TEL/03-3237-6857
https://plantec.co.jp/

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