最優先すべきは安全とサスティナビリティ。 得意とする“PM”業務で業界の発展に貢献
レンドリース・ジャパン
顧客の要望を受け上流からPMに従事
レンドリース・ジャパンのルーツであるシャール・アソシエイツが日本支店を設立したのは1988年。日米構造協議によって外国企業に公共工事の門戸が開かれ、同社が横浜国際平和会議場などを受注したことによる。その後、総合建設業として大型公共工事に参画し、90年代からは同社の主な顧客である外資系企業の要望を受けるかたちで、PM・CM事業を開始。2001年からは通信インフラのPMも開始し、基地局などの建設に多く携わっている。取締役建設・通信事業統括の坂本真一氏は、ゼネコンから転職後、建設と通信両方のPMを手がけてきた。
「日本支店の初代代表ジョン・ディキソンがPM業務に精通していたこともあり、彼が世界で培ったPMの手法を受け継ぎ、進化させてきました」
現在、建築事業部では工場、ホテル、商業施設、大手ラグジュアリーブランド店舗などのPMを幅広く受注し、高いリピート率を誇る。スタッフの専門は、建築、内装、施工、都市開発、電気機械設備など幅広い。上流を含む全工程に少人数で携わる場合もあれば、多様な人材を組み合わせたチームを組成して取り組む場合もあり、各人の能力と個性を見極めながらアサインする。昨今は、事業企画の段階からPMに入ることが多くなったと、同建設部部長の板倉大輔氏は語る。
「開発案件などでは、投資家やアセットマネジメントなどを含めた大勢の関係者を取りまとめながらの舵取りが必要です。PMには広範囲な知識が要求されるため、様々な専門分野の社内スタッフによる勉強会も開催しています」
〝フェアなPM〞で〝三方よし〞を守る
同社は、安全とサスティナビリティにおいて建設業界を牽引することを最優先事項として掲げている。それは、レンドリースグループ創業者ディック・デュッセルドープ氏の信念だ。自社開発プロジェクトでは、日本の労働安全衛生法の要求に加えて、社内基準「GMRs(環境・安全衛生に関するミニマムスタンダード)」を定め、全契約先に遵守を求め、建設現場の安全監査を徹底するほか、ボランティアなどソーシャルサスティナビリティ活動にも積極参加している。
「安全できれいな産業にならない限り、建設業に優秀な人材が集まらず、業界自体の持続可能性は高まりません。時間とコストをかけて、〝安全遵守〞に取り組んでいます」と坂本氏は言う。
現在、同社が特に注力しているのが不動産投資開発だ。データセンター・ファンドによる大型データセンターを建設中のほか、ライフサイエンスイノベーション・ファンドでは、取得した横浜みなとみらいの大型商業施設の再生プロジェクトが始まっている。
「エスカレーターの撤去、4基分のエレベータ増設を含む大規模改修を施し、オーストラリアのWOODS BAGOTの設計による最新オフィスに生まれ変わります。新たな価値を創出する〝リポジショニング〞で、不動産ストックの新たな課題解決策をマーケットに提案する試みとなります」と坂本氏。
このような自社開発案件に携われるのも、レンドリース・ジャパンのPMの魅力である。加えて、世界的に著名な建築家やデザイナーとのコラボレーションは、建築人材の知的好奇心を十分に満たしてくれる。
今後日本では、さらにPM、CMが普及していくことを坂本氏は予見する。
「専門の知識がなければ、発注者の多くは建設を適正にコントロールできません。コストのみを比較しても、PMを使うメリットは非常に大きいはず。加えて、我々のモットーである〝フェアなPM〞では、施工者側が適正な利益を確保できることも大切にしています。発注者からも施工者からも求められるのが、よいPMなのです。近い将来、日本でもPMが建設プロジェクトに必須の機能になると確信しています」
- 取締役 建設・通信事業統括
坂本真一 さかもと・しんいち/
1995年、東海大学工学部建築学科卒業後、国内ゼネコンに入社。
98年、レンドリース・ジャパン株式会社に入社。
建築部プロジェクト・エンジニアから業務を開始し、
2010年からは通信事業者へのPM業務を長く担当。
21年より現職。技術士(建設部門)・一級建築士・一級建築施工管理技術士。
- レンドリース・ジャパン株式会社
所在地/東京都港区六本木7-7-7
TRI-SEVEN ROPPONGI 7 階
https://www.lendlease.com/ja/jp/
「不動産投資&開発」「プロジェクト・マネジメント&建設」「テレコム&インフラ」を3本の柱に、幅広い建設プロジェクトにおいてコンサルティング業務などを行う。グループの本社はシドニー。8000人超の社員が所属。