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〝構造の原理〞に忠実な姿勢を貫き、 考え抜いた複数の〝解〞を提案する

〝構造の原理〞に忠実な姿勢を貫き、 考え抜いた複数の〝解〞を提案する

オーノJAPAN 大野博史

意匠と構造を連立して唯一の建築に導く

池田事務所で4年半働いた後、「オーノJAPAN」を設立。勤務時代は所長公認で個人の仕事をしていたこともあり、独立後は順調に活動を広げていった。さらに、池田氏が構造設計の活動を休止したため、手塚両氏からも声がかかるように。そこで実現したのが、2011年に日本構造デザイン賞を受賞した「ふじようちえん増築計画」だ。

「家具でできたような建築に。これが施主の要望でした。子供のスケールで空間を創出することにより、柱も家具レベルの3㎝角まで小さくしています」

この受賞によって、構造家の諸先輩方に認知してもらえたことが一番うれしかったという。日本構造家倶楽部に入ることで、情報交換の場や実験などに参加できることも大きかった。

独立以来、絶えずスタッフを5〜6名抱えながら、年に40〜50件のプロジェクトをこなしている。付き合う建築家の年齢が上がるとともに、仕事の規模も少しずつ大きくなってきた。西澤徹夫建築事務所とタカバンスタジオ、森純平氏との協働である八戸市美術館は、プロポーザルから実現した思い出深いプロジェクトだ。

構造設計をする際に目指しているのは、構造の原理に忠実な姿勢である。

整然としたシステムに則り、複雑な形状の構造を数少ないディテールで解くような設計が好きだと語る。

「自分の意見を押しとおすのではなく、用意した複数の案から選んでもらうようにしています。提案する時点で、いくつかの取捨選択は生じますが、建築家が選んだ案によって建築が思わぬよき変化をするところに面白みがあります。どこかで意匠と構造がうまくマッチして、そこに唯一の解が生まれる瞬間が、僕にとって構造設計という仕事の一番の醍醐味です」

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PROFILE

大野博史

大野博史
おおの・ひろふみ

1974年、大分県生まれ。97年、
日本大学理工学部建築学科卒業後、ユーゴスラビア「ENERDOPROJEKT」海外研修に参加。
2000年、日本大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了後、池田昌弘建築研究所入所。
05年、オーノJAPAN設立。主な受賞に、日本構造デザイン賞、日本建築学会作品選奨、
BCS賞など。著書『構造設計プロセス図集』(オーム社)。構造設計一級建築士。

有限会社オーノJAPAN

所在地/東京都渋谷区上原1-30-9-402
TEL/03-5452-3180
https://ohno-japan.com/

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