建築およびインテリア設計を軸とした、トータルクリエイターとして社会に貢献
株式会社アトリエ・ジーアンドビー
いいパフォーマンスが唯一のアピール方法
「建築環境のトータルクリエイターとして社会に貢献する」を企業理念に掲げる同社。建築設計、インテリア設計はもちろんのこと、家具のコーディネート・デザインから輸入・調達・納品に至るまで、小回りの利くサービスを提供する。ホテル、テナントビル、オフィス、ショッピングモール、病院、集合住宅など、手がける範囲は幅広い。
案件は、親会社である大林組および大林グループからの仕事が過半を占めるが、グループ外からの依頼にも対応。代表取締役の伊藤均氏は、「外部からの仕事の割合を引き上げ、5対5程度に保ち、設計事務所としての自立性を高めると同時に、それによって親会社へのサポート力も増強していきた」と、将来ビジョンを語る。とはいえ、社内に、仕事を取りにいく、いわゆる“営業担当”はいない。
「我々は、いいパフォーマンスでアピールするしかありません。一つのプロジェクトでも、クライアントの期待以上の結果を出せば、『こんなこともできるのか。であれば、もっとお願いしたい』と、様々な依頼をいただけるようになりますから」
- プロジェクトをよりよい状態で進めていくために
プロジェクトをよりよい状態で進めていくために、時には親会社のクライアントと直接契約したり、競合と手を組んで仕事をしたりすることも。中には、「最初は大林組経由だったクライアントが、その後、直接新たな案件を発注してくれる」パターンも、少なくないという。
「内容や時間、コストなどをトータルに見て、クライアントの真のニーズに最大限に応える。そして、満足を超えた感動を提供するというある意味“コンサバ”な発想が、うちの特徴でもあるのです。建築・インテリアにかかわるすべての場面において、最適なものを創造することが使命であり、『建築環境のトータルクリエイターとして社会に貢献することだと考えます」
- スタッフ教育を徹底し顧客満足につなげる
スタッフ教育を徹底し顧客満足につなげる
クライアントから信頼を得るためのポイントとして、伊藤氏は“スタッフ教育”を挙げる。月に一度、全スタッフによる会議およびプロジェクト報告会を行い、仕事内容を発表させるのも、それが目的だ。また、シニアデザイナーには、日常の業務をとおして、若手に手本を見せることを徹底。一方、若手デザイナーには、その進め方を学ぶと同時に、「自分だったらどうするか」を、主体的に考えながら業務に当たるよう伝えている。
「全スタッフが自分の仕事をクライアントにわかりやすく伝えられるようにしておくこと。そして、誰が担当してもクライアントに満足してもらえること。それが大切なのです」
今後、手がけたい案件について伊藤氏に尋ねると、「建築設計の仕事をもっと増やしていきたい」と答えてくれた。「現状、案件は、“建”と“インテリア”で1対9ほどの割合です。骨格を一つ変えるだけで、空間の質がガラリと変わる。そんな発見を、建築の仕事をとおして、若手に経験してほしいと思っています」
- 案件は常時20以上あり、2グループ体制で対応している
案件は常時20以上あり、2グループ体制で対応している。さらに水面下で複数の別案件が控えており、今、少し人手が足りないのだとか。「採用はいつも慎重に考えている」という伊藤氏が求める人材は、「素直かつ前向きで、デザインが大好きすぎて、同時にたくさんの仕事を頼んでも喜んで引き受けてくれる人(笑)」だと言う。採用が行われるのは不定期だが、力を発揮できそうな人がいれば、随時チャンスを設ける姿勢だ。
「大きな歯車の一部となり、設計のおいしいところに辿り着けないデザイナーもいます。その点、うちなら案件の大小にかかわらず、その気になれば中身の濃い仕事ができるはずです」
親会社から出向し、昨年代表となった伊藤氏。最後に、今の気持ちを聞くと、笑顔をこぼしながら、こう応じてくれた。「現在は立場上、私が直接案件を受け持つことは少なくなってきましたが、本音を言うと、もっとやりたい。ここでの仕事に魅力を感じていますし、そんな仲間が集まっている組織です」
- 代表取締役 伊藤 均
Hitoshi Ito いとう・ひとし/1979年、武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業後、株式会社大林組入社。
本店設計部、東京本社設計本部を経て、99年、株式会社アトリエ・ジーアンドビーへ。
2014年、代表取締役に就任。主な受賞に、平成6年度神奈川建築コンクール優秀賞など多数。一級建築士。