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「脱請負」を掲げ磨いた、 社会課題への対応力――。 まだ見ぬ未来で輝くために、 常に新たなチャレンジと、 知見の進化・深化を継続

「脱請負」を掲げ磨いた、 社会課題への対応力――。 まだ見ぬ未来で輝くために、 常に新たなチャレンジと、 知見の進化・深化を継続

前田建設工業 建築設計部門

 1919年創業の前田建設工業は、青函トンネル、東京湾アクアラインなど大型公共インフラの施工にかかわってきた。80年以降は〝建築事業〞が拡大。超高層マンションや大規模商業施設などの実績を積み重ね、近年は請負のみならず、自らが事業主となる「脱請負」を推進し、「コンセッション事業」に参入したことも話題に。時代の要請
を受けながら、持ち株会社体制にも移行。新たな挑戦を続ける、同社の建築設計部門の今とこれからを聞いた。

コンセッションのトップランナーに

近年、前田建設工業の建築設計部門は、タワーマンションに代表される集合住宅の設計を強みとしてきた。現在も案件の3〜4割を再開発案件集合住宅が占める。新型コロナ以降は「人が動く時代から、モノが動く時代へ」という社会の変化を背景に、物流施設の仕事が増加。「大型化の流れもあり、100億円規模の案件が出てきています」と建築設計統括の森野聡氏は言う。

「前田建設のストロングポイントは、挑戦し続ける社風です」(森野氏)の言葉どおり、同社は常に〝挑戦〞をし続けている。2000年に3DCADのワーキンググループを立ち上げ、ゼネコンの中でもいち早くBIMにまつわる活動をスタートさせたのもその一つ。

近年は「有明ガーデン」「KAMEIDO CLOCK」など、ディベロッパーと一体となって公共性の高い商業施設を開発、〝まちづくり〞を担う案件も増えつつある。なかでも、前田建設の挑戦を語るうえで、「脱請負」というキーワードは欠かせない。

脱請負とは、前田建設が主体となって事業リスクを取り、企画や運営まで取り組む案件を意味する。従来、建設業は「請負」を主体としてきた。しかし、人口減少が進む日本では、公共投資をはじめ建設需要の縮小は避けられず、価格競争の激化も確実視されている。そして、前田建設はゼネコンとしての生き残りを懸けて、11年に脱請負を宣言。現在は〝請負×脱請負〞の両輪で同社の事業を牽引している。

脱請負の象徴がコンセッション(官民連携)事業だ。コンセッション事業とは、高速道路や空港などの公共インフラについて、施設の所有権は公共が有したまま、施設の運営を民間事業者が担うもの。前田建設は、16年7月の仙台空港の運営を皮切りに、同年10月には日本における有料道路コンセッションの第1号案件として愛知県内の8路線の運営も開始した。

東京藝術大学国際交流棟 Hisao & Hiroko TAKI PLAZA(東京都台東区/2022年)
東京・上野にある東京藝術大学の新校舎。ファサードや階段、茶室等に、藝大関係者などが制作したアートが掲示されている。環境に配慮し、木造と鉄骨の混構造とした。「音楽部門のキャンパスということもあり騒音が課題でしたが、軽量な木造を用いたことで重機も小さくでき、騒音を縮減できました」(森野氏)

22年7月には、愛知県新体育館(愛知アリーナ)の整備・運営プロジェクトも獲得している。同プロジェクトでは、BT(建設・移転)とコンセッションを組み合わせた国内初の「BT+コンセッション方式」というスキームが採用された。従来のコンセッション事業では既存施設に対して運営権が設定されていたが、同案件では新たに施設を計画・整備する段階から前田建設が参画。これにより、同社が培ってきたエンジニアリング力と脱請負のノウハウを最大限に発揮できるのだ。

「要は、当社は設計者であり、施工者であり、事業主でもあるということ。愛知アリーナほどの規模ではないにせよ、当社が事業側に立つプロジェクトは今も複数走っています。BIMにしてもコンセッションにしても、業界に先んじて取り組んでいる自負が私たちにはあります。もっとも、昔は『石橋を叩いて渡らず壊してしまう』くらい慎重なゼネコンとして有名だったのですが(笑)、特に持ち株会社に移行してから前田建設は圧倒的に変わった。ゼネコンとして進化し、深化し続ける――さもなくば時代に置いていかれるという危機感が、挑戦の原動力です」

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〝変わり続ける〞人材が活躍できる環境

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PROFILE

森野 聡

森野 聡
Satoshi Morino

前田建設工業
執行役員 建築事業本部 建築設計統括

1964年、和歌山県生まれ。90年、京都工芸繊維大学大学院修了後、
前田建設工業株式会社入社。2021年4月より、同社執行役員・建築設
計統括。再開発案件、民間ディベロッパーとの超高層マンションを中心
に、幅広い分野の住宅プロジェクトの設計を担当。海外プロジェクト、建
築家やデザイナーとのコラボレーションも多数。一級建築士。インテリア
プランナー。

前田建設工業株式会社

創業/1919年1月8日
代表者/代表取締役社長 前田操治
所在地/東京都千代田区富士見2-10-2
https://www.maeda.co.jp/

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