住まう人たちの最適な“暮らし”を考えたリノベーションで、物件価値を最大限に
スター・マイカ株式会社商品企画部
“賃貸”と“分譲”の両輪経営で継続成長
同社は、中古マンションの買取再販業を手がける企業のなかでも、とりわけユニークなビジネスモデルを展開している。他社が空室を買い取るのに対し、同社が買い取るのは入居中物件。居住者がいる間は賃貸業を、退去後は分譲事業を行う仕組みだ。
“賃貸”と“分譲”の両輪のうち、後輪を担うのが商品企画部である。退去の連絡を受けると、その物件に最適なリノベーションを施し、付加価値を加えて販売。同部署のサブリーダーの任を担うデザイナーの谷口愛氏は、「いつどの物件が空いても、想定されるお客さまに最適な商品を提供できるよう、柔軟に対応しています」と、仕事の特徴を語る。空室になった物件の玄関を開けてからが勝負の始まりだ。
「現場に足を運び、実際の間取り、立地、環境などの特性を踏まえ、現在のマーケットにどう訴求するか、を瞬時に考えます」年間約400戸を、9名のメンバーが引き受ける。リノベーションにかけられる時間は短く、工事発注まで約2週間、それから完成まで3週間から大きなものでも2カ月弱で進行しなければならない。常時、1人当たり30戸以上を回す計算だ。
- “スピード感”と“柔軟性”が問われるこの業務を効率よく進めるには
“スピード感”と“柔軟性”が問われるこの業務を効率よく進めるには、システマティックな動きが不可欠。リノベーションのパターンをあらかじめ用意しておくことで、時間を短縮する。客さまに『スター・マイカのリノべーションって本当にいいよね』と思ってもらえる商品をつくり続けることです」同部では、多様なバックグラウンドを持つ人材が働いている。ポイントを谷口氏に聞くと、「多くのお客さまに受け入れていただけるよう、“ベース”はコンサバに」とする一方で、「最適な“味つけ”を個性として加えるのが、デザイナーの腕の見せどころ」と答えてくれた。
腕を磨く努力も欠かさない。外部のセミナーやメーカーの展示会に足を運び、トレンドのキャッチアップを心がける。「“ベース”と“味つけ”が物件のキャラクターにマッチすると、早期に売れます。お客さまから満足の声をいただくことが、一番の喜びです」
一方、同部署は企画だけに留まらず、物件ごとのアフターサービスまでを担う。
「業務の特性上、お客さまと事前に顔を合わせることは基本ありません。だからこそ、入居後にストレートな厳しいご意見をいただくこともあります。でも、それらの声は次の企画にノウハウとして生かすことができますから、貴重な財産なのです」
- 中古物件ならではの魅力的な生活提案を
中古物件ならではの魅力的な生活提案を
ここ数年、リノベーションのニーズが多様化している。とりわけ設備などの“ハード面”に対する期待は、新築のそれと変わらなくなってきている。 「私たちは、『中古だからこそできること』を提案していかなくてはなりません。生活スタイルなどの“ソフト面”の魅力を伝えることに、当社の存在意義があると考えています」
その思いをカタチにしたのが、社内有志の女性チーム「しあわせリノベ研究所」により手がけられた物件だ。家にいる時間の長い“女性の住みやすさ”を一番に考え、調査をもとにリノベーションを企画している。
例えば、「買い物から帰った主婦の動線を考え、玄関からキッチンにアクセスしやすい間取りにする」などの工夫が詰まった物件は、即完売した。その後も、「同じ間取りにしてほしい」という声があとを絶たないという。
「私たちが目指しているのは、もともと建築に携わっていたお客さまに『スター・マイカのリノベーションって本当にいいよね』と思ってもらえる商品をつくり続けることです」
- 同部では、多様なバックグランドを持つ人材が働いている
同部では、多様なバックグランドを持つ人材が働いている。もともと建築に携わっていた人、飲食店勤務だった人など様々です」と話す谷口氏自身も、大学時代の専攻はグラフィックデザイン。同社での仕事はアルバイトからのスタートだった。
「入社後は、先輩社員に一から仕事を学ぶスタイル。担当する物件数が多いので、知識やノウハウはおのずとあとからついてきます。3カ月もたてば、サポートを受けながらではありますが、物件を担当できるほど成長します。リノベーションが大好きで、商品を楽しくつくれる人と、一緒に働きたいですね」
- 商品企画部デザイナー 谷口 愛
Ai Taniguchi 2007年、武蔵野美術大学造形学部卒業後、人材コンサルティング会社入社。
その後、町田ひろ子アカデミーでインテリアを学ぶ。店舗デザイン会社、
インテリアコーディネート会社などの勤務を経て、
2010年8月、スター・マイカ株式会社に入社。現在に至る。